世話人代表挨拶
死の臨床における真のホスピスケアを求めて
世話人代表 末永 和之
日本死の臨床研究会は1977年にスタートしました我が国におけるホスピス緩和ケアの最も歴史ある研究会です。その原点は「死の臨床において、患者や家族に対する真の援助の道を全人的立場より研究していくこと」という会の目的にあります。この度、渡辺 正先生の後任として未熟でありますが代表世話人を引き継ぐことになりました。
「死の臨床」とは死に直面した時、沸き上がってくる根源的な叫び、すなわち自分のこの世の存在が失われていくという苦悩、言い換えれば不条理な人生を直視したときの深いスピリチュアルぺインの中にある人々への寄り添いだと思います。ホスピスとは目の前に悩める人にいかに手をさしのべるかという哲学であり、私たち一人ひとりがいただいた「いのち」をその人らしく生ききることであり、医療をはるかに超えた「いのち」の尊厳を大切にすることだと考えています。すべての人々はその苦悩の中で、その瞬間まで今を生きておられるのです。私たちがその専門性を生かし、チームとして患者・家族の皆様の心の架け橋や燈明を照らすことができるかが問われているのだと思います。死の臨床においてすべての人々が自分の人生に意味を見出し、価値を見出して安寧な気持ちで終えていけるようにありたいものです。
私たち一人ひとりは無限の世界からこの世に生を受け、人生を歩み、また無限の世界に戻らざるを得ません。どのような人生を歩もうとも、一人ひとりの人生には必ずキラリと光るものがあり、存在することそのことに意味があるのです。この二度とない人生をその瞬間まで実存を感じられるような場がとても大切だと思います。ホスピスの場とは悪くて、だめだから行く最期の場ではなく、その瞬間までより良く生きる場であり、それを支え、橋渡しをする場です。そのために、時間と空間がとても大切な場であり、いのちを通じて生きるということを考え、学ぶ場だと思います。病院でもホスピス緩和ケア病棟でも住み慣れた我が家でも患者さんとそのご家族が安心して最期まで過ごせることが大切なのだと思います。
そして、看取りとはその人が歩んだ全人生を看取ることであり、その看取りが出来るのは共に歩んだ家族や親族や友人などだと思います。最期のいのちは家族にお返ししなければいけません。第34回死の臨床研究会の大会長の蘆野・長澤両会長がご挨拶の中で「学びの場である看取りを、非日常性の医療の場から日常の生活の場、あるいは日常的な環境になるように配慮した場に移すこと、医療者ではなく家族や親族あるいは友人などが看取るように配慮すること、地域社会が看取りを支援することが、今重要であると考えます」と言われています。この研究会の原点だと思います。
がん対策基本法に基づき、国民に広く緩和ケアの普及・啓発がなされ、医療的な面では進歩し続けています。しかし、柏木先生のいわれる人の死は医学的出来事ではなく、人間学的出来事であり、社会学的出来事であるということです。医療の進歩に伴い多くの恩恵がもたらされていますが、死の臨床研究会が産声を上げた原点を噛み締めなければいけないと考えます。
今後、我が国を取り巻く環境はますます複雑化してきています。少子高齢化の中で一人ひとりの人生の生き方や終え方の価値観も変化し、多様化してまいります。
医療、看護、介護、福祉の現場で、一人ひとりのいのちを大切にする智恵と工夫がますます重要になってまいります。会員および事務局の皆様の援助をうけながら、この研究会が現場の実践を生かし、実践活動の学びの場となり、広い視野にたって益々発展していくように努力して参りたいと思います。何卒よろしくお願いします。
年次大会
年次大会
第35回日本死の臨床研究会年次大会(報告)
大会長
林 章敏(聖路加国際病院緩和ケア科医長) 小松浩子(慶應義塾大学医療看護学科教授)
実行委員長
高宮有介(昭和大学医学部医学教育推進室専任講師)
2011年10月9~10日の二日間にわたり、千葉の幕張メッセで日本死の臨床研究会年次大会を研究会本部のご指導で関東甲信越支部が担当して開催しました。林と小松浩子が大会長、高宮有介が実行委員長を務め、大会のテーマを「いのちの支え―生と死、その苦悩と癒し―」として会の準備にあたりました。都心での開催のため、会場費等を考慮し参加費を例年より若干高めに設定するなど、緊張感を持って準備しました。死にゆく中のスピリチュアルペイン、自死、生きる意味や支えを想定してのテーマでしたが、様々なプログラムを構成していく中、東日本大震災が起こりました。改めてこのテーマの重み、意味を考えさせられました。被災地の研究会会員をはじめとした安否、参加される方々の心情や諸状況への配慮、震災関連の講演やシンポジウムを組むなど、より一層身を引き締めながらの準備でした。多くの実行委員の支え、そして他の支部の方々からの温かい励ましなどもあり、無事に会の開催を迎えたのです。
大会参加者数は2636名に上りました。日野原先生の特別講演をはじめ、柏木先生、柳田先生、清水先生、沼野先生による教育講演、鳥越さんや山崎さんの市民公開講座や渡辺先生による総会講演など、多くの先生方が素晴らしい講演をしてくださいました。また、看取り、自殺/自死、子どものホスピス、スピリチュアルケアなどのシンポジウムでは活発な意見の交換もなされ、震災関連の特別企画として鼎談や講演など充実した内容の会となりました。ご参加いただいた一人一人に心から感謝いたします。会計的にも満たされました。
懇親会にも、定員いっぱいの300名にご参加いただきました。子供たちによる太鼓、高宮実行委員長のパフォーマンスや参加者全員による歌などで思い出に残る懇親会となりました。
会場となる幕張メッセの方々にも会の準備段階からご助言、ご協力を頂きました。多くの方々の力で開催できた大会でした。本当にありがとうございました。
事務局便り
事務局便り
第36回年次大会のご案内会期:2012年11月3日(土)~4日(日) |
入会について年次大会における演題発表者および共同研究者は、全員会員でなければならないという規則になっております(演題申し込み時に手続きが完了していること。「手続き中」は認められませんので、ご注意ください)。手続きには1週間ほどを要します。毎年演題締め切り間際には入会申込みが急増いたしますので、第36回年次大会において演題申込みをご予定の方には、4月1日以降どうぞお早めに手続きをしていただくようご案内ください(会計年度が4月1日~翌3月末日のため)。会員の皆様のご協力をお願いいたします。 |
通常総会のご案内2011年度通常総会が、さる10月9日(日)第35回年次大会会場において開催されました。出欠のお返事も多数頂き、当日も多数の出席がありました。ご協力を感謝申し上げます。今年度の特別講演は、渡辺 正先生による「かけがえのない学び―死の臨床を通して」で、ご自身の経験に基づく事例を交え、死の臨床を通しての深い学びと、死の臨床に携わる人がすぐにでも実践したいようなケアについての講演でした。年に一度、当研究会参加の意義を問う貴重な時間として、今後も総会にご出席下さい。 |
会費納入について今年度(2011年度)年会費を未納付の会員の方には同封の青い振込用紙をご利用の上、至急お振り込みをお願いいたします。本年度も残り少なくなっておりますが、本会の活動は全て会員の皆様の会費のみで支えられておりますので、ご協力をお願い申し上げます。(会員番号を必ずご記入ください)なお、「振込控え」は、本部事務局へのお問い合わせの際必要となりますので、必ず保管いただきますようお願いいたします。 |
図書のご紹介本部事務局に届いた図書を ご案内いたします。 |
『死の臨床』バックナンバー日本死の臨床研究会会誌『死の臨床』バックナンバーの在庫があります。(別途送料が必要です)奇数号は前年度年次大会の記録、偶数号は年次大会の予稿集です。 |
入会について入会ご希望の方は、日本死の臨床研究会ホームページから申込書をダウンロードしてご利用ください。入手できない場合は、本部事務局へご請求いただければ、お送りいたします。 |
退会についてやむを得ず本研究会から退会をご希望の方は、世話人代表宛の文書にして、ホームページからのメールフォーム、FAX、または葉書にて、本部事務局までご連絡ください。 |
住所等変更についてニューズレターや会誌が住所不明で返送されることが増えております。メール便発送物は、郵便局への転送依頼だけではお手元に届きませんので、ご留意ください。ご登録の住所(集合住宅の場合は部屋番号も明記)・勤務先等に変更がありましたら、速やかに、ホームページからのメールフォーム、FAXまたは葉書にて本部事務局までご連絡ください。その際は、お名前・会員番号を忘れずご記載ください。 |
